インド:シッキム王国への旅 6.ペリン王宮跡へ
シッキム州:ペリンで最初の朝。今日もあいにくの曇天でカンチェンジュンガは全く見えない。今日はラブデンツェ(ペリン王宮跡)とサンガチョリン、ペマヤンツェの2つのゴンパ(寺院)を訪れる。宿の食堂へ行くと12歳ぐらいの女の子が注文を取って給仕もしてくれる。メニューに見慣れない名前が載っており、これはチャパティのことかと尋ねると首を横に傾げられる。通じなかったのかと思ったが、ネパール系住民はYESの場合にうなづくのではなく横に首を傾けるので、これはYESの意味だったらしい。
女の子は最初は警戒していたのか無愛想だったが、やがてどこから来たのか、美味かったか等々聞いてくるようになった。他の小さい子供たちもそれぞれに掃き掃除など仕事をしており、家族経営の宿のようだ。
昨日、村から見かけたゴンパ(寺院)へ行ってみることにする。急坂を登るのだが近道があったらしく後ろにいたはずの村の若者がいつの間にか先を行っている。歩いていると貧しさがそこここに見えてやり切れないが、子供が屈託なく元気なのが救いである。単にシーズンオフだから寂しく見えるというだけなのかもしれないが。
建築中の建物が見える。来年のシーズンへ向けて工事中のゲストハウスらしい。
丘を登り切ったところに目的の寺院:サンガチョリンゴンパ(Sanghak Choeling(Sangacholing)Monastery)があり、チョルテン(仏塔)から先を見ると断崖絶壁になっている。あまりの高さと傾斜に恐れをなす。ノミでチョルテンを直す少年や洗濯物を干す女性たちの姿が見える。修行房かと思われる土を固めた粗末な小屋があり、中はでこぼこの石の床と木の窓があるだけ。
住職に挨拶する。「ほお、日本から…」と感心される。あまり日本人観光客は来ないのだろうか。寺院内部に入らせてもらい鬼神、交合神、女神などの壁画を見て回る。ドクロの頭飾りをし、ヘビを首に巻きつけ、生首の腰巻き、左手にサソリ、虎の下半身を持ち両足で人間を踏みつける、穏やかな顔をした神の絵。仏の面と悪魔の面をあわせもつ、人間そのものを表現したもののようにも思える。
丘を下り、昨日ゲイジン(Geyzing)から来た道を下ってシッキム王宮跡(ルブデンツェ:Rabdentse Ruins)へ向かう。廃墟という感じはあまりせず、芝生が敷かれきれいに整備されている。観光地というより近隣住民の憩いの場となっているようでもある。最も高い位置に玉座があり、天気がよければその背後にカンチェンジュンガが大きく見えるはずである。
王宮跡から見えるペマヤンツェゴンパへ向かう。20ルピー払って中へ入る。6つの長命なるもの(老爺・鹿・鳥・木・崖・水)の絵が飾られている。ちょうど午後のお勤めが始まる所で、堂に集まった僧侶たちが一斉に自分のペースで大声で経を唱え続ける。少年僧はよそ見ばかりしている。このように大声ですごいスピードで経を読み続けると一種のトランス状態になるかもしれないと思う。
帰り道にあったホテルカブールで食事。ベジ・テントゥク(チベット風うどん)とティーポットを注文し、他にも頼もうかと思っていたところ注文をとった少年が「これで十分だと思う」とキッパリ。食事中にも関わらず黒猫がやたらちょっかいを出してくる。
宿に戻りシャワーを浴びるが5分で冷水に戻ってしまう。インドでは仕方ない(この高地ならなおさら)のでバケツに湯をためて風邪を引かないように手早く入浴を済ませる。部屋のテレビはケーブルTVのようで世界中の番組が視聴できる。もはや世界のどこであっても情報の差はないに等しい。
食堂には暖炉があり夜は家族、宿泊客みなそこに集まる。日本人の宿泊客がもうひとりいて声をかけられる。旅慣れている人のようで色々情報を教えてもらう。
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