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インド:ラダック旅行 7.旅の終わり

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ラダック最終日の朝。飛行機でデリーへ戻る。この日もドライバーのNawangに送ってもらった。最後まで寡黙な男だった。

空港での搭乗チェックが厳格を極めていた。こちらに来てからあまり意識していなかったのだが、ビンラディンの一件以来警備は格段に厳しくなっているようで、軍兵士のピリピリした空気が伝わってくる。手荷物をすべて開けて検査するのでとにかく時間がかかる。

自分の検査の番になり、デジカメを見咎められる。これは何だと聞かれカメラだと答えると、疑わしそうな目ででは電源スイッチを押してみろと言う。電源ONするとズームレンズが飛び出してくるのだが、その瞬間周りにいた兵士がいっせいに後ずさりつつ身構えた。爆弾だとでも思っていたのか。

乗客の中に何人か僧侶の姿が見える。やはりここラダックでは僧侶は敬われる存在のようで、空港職員はうやうやしい態度で接し、金属探知機の係員も合掌している。

後ろ髪を引かれる思いでレー空港を発ち、1時間少しで酷暑のデリーに到着。この変わりようが嘘のようである。

above himalaya

インディラ・ガンジー空港から地下鉄で市内中心部へ出ることができるようで、今回はそれを利用してみることにした。地下鉄に乗るためのセキュリティチェックが、空港でのそれと全く同レベルの厳重さでなかなか時間がかかる。プラットフォームにも銃を持った兵士が巡回しており、地下鉄車両内にも兵士と探知犬がいる。

ニューデリー駅に着き、何とか外に出ようとする。地下鉄改札はもはや人の海である。構内も大変な人の数で明らかにインドの臭いがする。汗と香辛料とトイレの混ざった独特の臭いで、これがインドかと思わず感じさせられた。何とか出口を見つけて外に出るがここがどの辺なのかよくわからない。通行人に聞いてみても英語が通じていないのかはっきりと教えてもらえない。

またメインバザール(パハールガンジ)へ行こうと思ったのだが、結果的にこの地下鉄の出口は駅をはさんで反対側にしかないことがわかった。

本日の宿泊先:Cottge Crown Plaza

非常にきれいな部屋でエアコンなども完璧、室内にいるとここがインドとは思えない感じである。

酷暑の中、出歩いてみる。警官が居丈高に通行人を怒鳴りつけている。ふと脇道に入ると生きているか死んでいるかわからない男が横たわっている。あたりにはすごい悪臭が漂っている。

ラダックで見かけた明らかに裕福なインド人がいる一方で、この水たまりだらけの路地で裸足にボロボロの服で日々を過ごす人たちがいる。さらにはこういう貧しい人たちがいる一方で、余暇を過ごすために来る(彼らからすれば)大金持ちの外国人がいる。意味もなく申し訳ない気持ちになり、平等とは何だと考えてしまう。

物乞いも無数にいるのだが施しをすべきなのかどうなのか、ネパールでも感じたことだがどうするのが本当に良いことなのかわからない。今回は、見るからに怖そうな刺青だらけの白人男が小銭を恵んでいるのを見て、自分もまねをして施しをしてはみたのだが。

翌日日本への帰国便でインドのまた新たな一面を見ることになった。空港関係者やアテンダントの、欧米人に対する態度とアジア人に対する態度が明らかに違うのである。聞けばインドの特に上流階級の人たちは自分たちをアジア人ではなくヨーロッパ系だと考えているという。実際に人種的にはインド人はヨーロッパ系人種に分類されるらしい。これまで明確な人種差別を受けたことがなかっただけに何とも嫌な感じである。

デリーからバンコクを経由して羽田へ帰着して駆け足の旅は終わった。1週間に満たない短期間であったが、その間日本と海外の違いというものを折りにふれて考えさせられた。一方で人の暮らしはどこへ行っても根本的には同じなのだということも感じられた。こんな辺境の地でもたくましく生きている人たちがいるのを知ってなぜかうれしく思う気持ちがあった。この旅を通じて自分は海外を旅することが好きなのだとようやく確認できたように思う。

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