中国西域への旅 四川省:中路郷から丹巴(ロンダク)へ
四川省丹巴からほど近い天空の村:中路郷で朝を迎える。何度見ても印象的な古石碉楼が立ち並ぶ姿、そして村の風景である。ここは丹巴から日帰りでも十分に観光できるが一泊して本当に良かったと思う。
チョルテン(仏塔)が何基も立ち並ぶ場所があると宿の主人に教えてもらい、今朝はそこへ歩いていくことにする。主人はあそこにあるとさかんに指差して教えてくれるのだが遠すぎてよく見えない。一応教わったルートを歩いてみるがどう歩いてもその方向にたどり着く道が無い。出会う村人には片っ端から行き方を尋ねるのだが、誰に聞いても答えが曖昧で(言葉が通じないせいもある)もうひとつはっきりしない。
結局それらしい場所にたどり着けずに宿に戻りチェックアウトしようと思ったところ、昼食を食べていけと宿のご主人。昨夜の夕食時とはまた違うメンバーとご一緒させてもらうが、どれが家族でどれが近所の人なのかよくわからない。ほうれん草、きゅうり、ジャガイモ、豚の角煮、手作りパン、ヤクのミルクなど盛りだくさんの食卓。毎回明らかに必要以上に大量に作っており、食べ残った分は取り置きするわけでもなく捨てている様子。
昼食後、近所の男性数人が集まってきて宿のご主人に隣家の作業を手伝ってほしいとのこと。いい潮時なのでこのタイミングで宿をあとにする。まだ時間が早いので、今朝教わったのと別のルートを歩くとあっさりとチョルテンが立ち並ぶ場所にたどり着いた。なぜ誰もこの道を教えてくれなかったのか不思議だ。チョルテン裏手が第一観景台(看日出)と呼ばれる場所で、ここから集落の全景を眺めることが出来る。
ようやく目的を達して、丹巴の町まで歩いて戻ろうと歩き出したが、1台の車が山道を登ってきて帰り道だから安く乗せてやるとさかんに誘われる。中国人女性2人が丹巴から日帰り観光で来たのだそうで、せっかくなのでお言葉に甘えて乗せてもらう。歩いて行った場合、下山に2時間、丹巴の町まで30分かかるそうだ。中国人女性の一人は少し英語が話せ、「この人たちはいい人だから高くないよ」とこっそり教えてくれる。言葉通り20元にまけてくれた。この女性はその後もこちらを気にかけて通訳してくれたりと助けてくれた。
一昨日訪れた梭坡(スオポ)郷:莫洛村にも短時間立ち寄り、前回とは違った角度から集落を眺めることが出来た。
車にはドライバーの他に女性ガイドが同乗しており、偶然にも自分がこれから戻ろうとしている丹巴の宿の女性の姉だということがわかった。明日自分が次に行こうと思っていた甘孜(カンゼ)にこの車で行く予定だとの事で、150元(約2300円)で乗せてもらうことにする。バスなら110元(約1700円)で行けるが偶然の縁に乗っかるのも悪くは無いだろう。とこの時点では思ったのだが翌日失敗だったことがわかる。
宿に着いて荷物を引き取る。今日もこの宿は改修工事で利用できないので、道を挟んで向かいにある王老五飯店に宿泊することに。一泊80元(約1200円)。前の宿の女性いわくここは食事がおすすめだそうだ。
現在加入している長期海外旅行保険の契約期間が明日で切れるので、期間延長のため今日中に署名済みの必要書類を印刷→データ化して送信したいのだが、宿を含めプリンターを利用できる場所が無い。色々な人に聞いてようやく見つけた広告屋さんでわずか1元(約15円)支払っただけで作業完了。外国人が尋ねてきたことなど一度もなかったようで、随分戸惑いつつも親切に対応してくれた。
日本の保険会社はここ数年長期海外旅行保険の保険料を大幅値上げしており、とてもその金額を支払う気にはなれなかったので、フランスのアリアンツという保険会社が提供するグローブパートナーという保険に加入している。携行品に関する補償が皆無なのはデメリットだが、料金が格安、疾病治療にかかる費用が概ね100%支給、歯科治療もOK、何より海外にいても延長手続きが可能な点が長期旅行者にはうってつけではないだろうか。保険代理店ASSETS社と日本語でやり取りできるのも大きなメリットだろう。
宿への帰り道、商店街で盆踊りのような踊りをする集団に出くわす。大半が中高年の女性で若い人もいる。土曜夜の恒例なのだろうか。
宿に戻り夕食。卵とトマト、ニラの炒め物。ここの食堂でも女性陣が踊っている。土曜の夜は踊る日なのか。
夜になると丹巴の町を貫いて轟々と流れる川の音が響く。と思っていると、あちこちで爆竹が一斉に鳴らされ始め、それが周囲の大きな岩山にこだまして、飛行機が近距離を通過したかのようなものすごい音がし始めた。これも土曜の夜だからか。
丹巴は別名「美人谷」とも呼ばれ、ここは美人の産地としても名高いらしい。確かに平均的なチベット人あるいは中国人とは少し顔立ちの違う、鼻筋の通った女性が多いように感じられる。加えてここの女性たちも自分たちが美人であることは十分に意識しているようで、お化粧もバッチリときまっている。この村だけが飛びぬけて美人が多いというのも不思議な話である。
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