You are here:  / 2016_中国 / 世界一周 / 中国西域への旅 甘粛省:夏河から合作へ ミラレパ・ラカン

中国西域への旅 甘粛省:夏河から合作へ ミラレパ・ラカン

Pocket

中国:甘粛省の夏河で初めての朝。一晩中石炭ストーブを焚いていたがそれでも非常に寒かった。朝目覚めると喉が少し痛み、風邪をひき始めているようだ。ここから先、標高3000m以上の高地がずっと続くので何とかここで食い止めておかなければならない。

今日はここ夏河からそれほど遠くない合作という町に日帰りで向かう。市内バス1元で夏河バスターミナルへ行き、合作行きチケット21.5元と明日移動予定の7:45発の郎木寺行き74.5元チケット(1日にこの1便のみ)を購入する。合作行きバスは7:15から30分に一本程度の頻度で発車している。

合作行きバスに乗り込むも乗客はわずか数人。前のほうの席でチベットの老爺がずっと念仏を唱えている。客がある程度集まらないと採算が取れないからか、バスは市街地を徐行運転でのろのろ走る。

見るともなく窓の外を見ているとチベットの若者の姿が目に入ってくる。彼らは伝統衣装と現代の服装を上手に組み合わせて着こなしている。一番上に着るコートだけは伝統衣装で、その下はジーンズにブーツであったり、アディダスを履いていたり、自分なりのおしゃれを楽しんでいるようだ。

バスは市街地の各所で一人また一人と客を拾い、市外へ出てからもそこここで客を乗せる。結局7割ほど席が埋まって本格的に走り出した。道中、車窓から立派な寺院が見えた。

やがて合作のシンボル、高層の寺院ミラレパ・ラカンが見えてきた。停まってくれるかと思いきや通り過ぎてなおも先に行きそうな気配だったので、途中で降ろしてもらう。バスはこの先の合作北バスターミナルまで行くということだった。出発から1時間半程度で到着。

道路から見える巨大なチョルテン(仏塔)へ向かって登ってみる。ここも標高は3000m前後なので息が切れる。ここも夏河と同じく巡礼が多い。またしても巡礼者の中に物見遊山客がひとり。お祈りを済ませた後、ピクニック気分で草の斜面に弁当を広げる人たちも多い。この高台から合作の町やほかの寺院が一望できる。

ここから隣接する合作寺へ歩いて行ってそちらへも参拝する人が多い。天気もよく、ちょっとしたハイキング気分である。

合作寺はチベットの寺院によく見られるような金ぴかの寺である。各方面からの支援があって意外に羽振りはいいのだそうだ。

寺院の壁にひとり額をつけて祈る女性。

寺の本堂から大勢のラマ僧が出てきた。本堂の屋根の上にも3人の僧が立ち、ほら貝か何かで作られたような笛を吹き鳴らしている。

寺院を見て回っていると四川省南充(ナンツェン)から来たという若い中国人旅行者に声をかけられる。スマホのバッテリー残量がなくなり、モバイルバッテリーも空なので充電させてくれないかということで、自分のモバイルバッテリーを貸して充電を試みる。充電待ちの間に主に筆談で会話する。このあと北バスターミナルから帰宅予定とのことで、何度も何度も謝謝と礼を言っていた。バカでかいキャリーバッグを持ってここまで登ってきたようで、石段を駆け下りていきながら何度もこちらを振り返って手を振っていた。

自分も斜面を下ってミラレパ・ラカンに向かう。圧倒的な存在感の13階建ての寺院である。ミラレパとはチベット仏教の歴史上の人物で、過去に多くの大罪を犯したことを悔いて仏教修行に励み、悟りを開いたのちこの仏塔を築いたのだそうだ。チベット人にとっては非常にありがたい地ということで、ここでも五体投地をしている人が何人もいた。

ここ合作は明らかにその知名度の低さとは不釣り合いに見どころが多いことがわかり、日帰り訪問ではなくここに宿泊するべきだったと後悔する。帰りのバスの時間があるのでどうしても先を急いでしまう。

丘の上から見えていたイスラム寺院へ向かう。町なかに巨大なモスクがそびえ立っている。何度見ても不思議な、心惹かれる光景である。

モスク近くへ来るとあたりは一転してムスリムの町となる。チベット人のおばちゃんが運転するバイクの後部座席にムスリムのおばちゃんが乗って走り去っていく。当たり前といえば当たり前の光景なのだが、何となく良いものを見たという気分になる。

近くのイスラム食堂で遅い昼食。牛肉麺6元(約90円)。

16時半発のバスで夏河へ戻る。最終便は17:40発ということだった。後部座席の地元女性がひどい車酔いでずっと吐き続けだった。

夏河へ戻って夕食。牛肉飯15元だが実際には牛ではなくヤクの肉である。コメの柔らかさとヤク肉の硬さがものすごいアンバランスを生んでいる。

宿へ戻る途中の道沿いには、同仁の宿で聞いた通りタンカ(仏画)工房が軒を連ねている。ラプラン寺自体がチベット学府ということなので、これらの工房で制作に励んでいる彼らも学徒かもしれない。

宿に戻ると宿の親父さんが石炭ストーブの準備や乾燥対策など何くれとなく世話をしてくれる。石炭ストーブにまず種火となる真っ赤に燃えた石炭を1個投入する。そこに乾燥させたヤクの糞(木の生えないチベットでは貴重な燃料である)を手づかみでボンボン放り込み、火が起こったら追加の石炭を入れていく。親父さんとは昨日から色々筆談を試みていたのだが、自分は読み書きが苦手だからあまりお前の書いている内容がわからないと言われる。言葉による理解は限られているものの、今日も周りの人の親切・厚意・優しさに助けられて旅は続いている。

Pocket

LEAVE A REPLY

Your email address will not be published. Required fields are marked ( required )

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

スポンサー

今回の旅は、日本を代表するアウトドアブランド: (株)モンベル様にご支援いただいています

Language