インド:シッキム王国への旅 11.コルカタからの脱出
予定外のコルカタでの朝。本来の予定では今朝デリーを発って夕方には日本着のはずであった。明日から仕事なのだがどう考えても間に合いそうになく職場へ電話連絡し最速の便で帰国すると伝える。
近所に1軒だけネットカフェを見つけ、1台のPCを占領してひたすら帰国便を検索する。隣の席では軍人が銃を抱えたままネットサーフィンしている。キーボードでタイピングしているとその上をネズミがゆっくり歩いて通りすぎる。ベンガル系の店員が色々話しかけてくれるのだが、インド訛りが強くほとんど聞き取れない。結局シンガポール航空で今夜出発の便が確保できたが明日の欠勤は確定。
夜のフライトまで時間があるのでコルカタの町を見てみることにする。観光客が集まるというサダルストリートへ行ってみる。午後早い時間帯でも渋滞しており、停車する度に物乞いが窓を叩く。両手のない青年が物乞いに来て、彼にだけは現金を渡す。
ネットで見つけたダクシナパン・ショッピング・センター(Dakshinapan Shopping Centre)へ向かう。タクシードライバーが場所を知らず、通行人に聞いてみた所それはダクリヤという地区だと教えられる。思ったより規模の小さいショッピングセンターで、近郊の少数民族が作った民芸品(木工品、織物、貴金属・宝石、家具)を販売している。値段もそれほど高くなく、こういう民芸品が好きな自分にとっては時間を忘れて楽しめる場所だ。出発まであまり時間がなく、それほど長居ができなかったのが少々残念であった。何に使うのかよくわからないが木彫りが美しい木工品をいくつか購入する。
町で見かけたネットカフェで帰国便のeチケットを印刷し、捕まえたタクシーで一路空港ヘ向かう。残ったインドルピーを全部運転手に進呈する。結構ぎりぎりの時間になってしまい空港係員に怒られる。評判の良いシンガポール航空はさすがの乗り心地であった。
あっという間にシンガポールに到着し、待ち時間に建物の外へ出てみるとむっと熱気が押し寄せてくる。出発1時間前まで搭乗ゲートが決まらず、みんな困っている様子。空港もとんでもなく巨大で移動するのもひと苦労である。ようやく帰国便に乗れると思ったら、機内温度が下がらないとのことでなかなか乗せてもらえない。今回は行きも帰りも運行状況に悩まされどおしだった。
成田に到着したのは翌日の夕方であった。雲ひとつ無い快晴で、夕焼けに富士山がきれいである。隣席のアメリカ人男性にあれがMt.Fujiだと教える。やがて日も落ち、町の灯り、光の海の中へゆっくりと下降していく。
初めてのシッキム訪問。後半、山が見えなかったことは残念であった。また、思ったより移動に時間を取られ、この地域を見て回るには期間が短すぎた。それでもラダックに続き、インドの中のチベット文化を垣間見ることができた良い機会だった。もう一度、今度はじっくり時間をかけて再訪したい土地である。
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