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中国西域への旅 青海省 西寧(シンニン)観光

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中国:青海省の西寧にビザの延長が最大の目的で訪れて今日で延べ4日目になる。昨日のタール寺(塔爾寺)に続いて今日は西寧市内を観光する。まず訪れたのが中国蔵医葯博物館。ここは青海蔵文化博物院と一体になった、チベット医学と文化の博物館ということらしい。ちなみに「蔵」とはチベットのことを意味し、蔵族はチベット族、チベットの中でも特にチベット自治区のあるチベット西部を西蔵と呼ぶことがある。

ここは市内中心部から離れたところにあり、宿泊中の理体青年旅舎(Lete Hostel)でもバスなどの公共交通機関を使って行けるかどうかわからないということだった。この宿は観光情報を尋ねても常に即座に適切なアドバイスをくれ、旅行者にとって必要な情報を豊富に持っている非常に頼りになる宿である。英語も多少通じるのは非常に助かる。そんな宿でも行き方がわからないぐらいなので、よほどこの博物館へは行く人がいないのだろう。

とりあえず最寄りのバス停から市内の中心部まで出てみる。初日から散々歩き廻ってこの辺りの地理はある程度頭に入っているので、適当なところで降りてみる。人が大勢集まっているようなバス停に行って路線を探してみるが全く分からない。自分だけでなく、地元の人も行きたい場所へ何番の路線バスに乗ればいいのかわからないようで、みな路線図の前でうんうん唸っている。

結局バス利用は諦めタクシーで向かうことにするが、運転手も場所がわからないようであちこちへ電話して聞いている。そんなに人が寄り付かない所なのか。意外に距離があり到着まで時間がかかった。23元(約350円)なので大した金額ではないが、既に完全に中国の金銭感覚になっているので、近距離の移動のための費用としては非常に高く感じる。

入場料60元(約900円)で9時から18時(10月から4月は17時)までが開館時間で、ここの一番の見どころは世界最長のタンカ(チベットの宗教画)を所蔵展示していることだそうである。

医学博物館だけあってチベット医学で使われる薬やチベット式の人体解剖図、外科手術で使われていた医療器具などが展示されている。トレパネーション(頭蓋穿孔)という頭蓋骨に穴をあけるという恐ろしい治療についての展示もあった。そもそも何の治療のために頭に穴をあけるのかよくわからないが、どうもチベットだけでなく世界各地でかなり古くから行われてきた治療方法のようだ。

西洋医学・インドアーユルベーダ・中国漢方・チベット医学で使われる薬が世界4大医薬と呼ばれていることをこの展示で初めて知った。

そのほかに青蔵高原(チベットの青海省エリアを「青蔵」というようだ)に生息する巨大なヤクやユキヒョウの標本などが展示されていた。これら動物もチベット医学で使われる薬の原料になるそうだ。また、この地域は希少な天然石の産地でもあるようでそれらもいくつか展示されている。

2Fに上がるとそこには世界最長のタンカが展示されている。1999年に27年かけて完成した長さ618mの彩絵大現で、数えきれないほどの人数の絵師が次から次へとタンカを連作したものだ。正直なところ、まともに鑑賞できる範囲をはるかに超えた長さである。すべてをちゃんと見るだけで功徳が積めそうなぐらいの長さで、ちゃんと絵を味わって見続けることはとてもできなかった。

こちらは博物館の廊下にかけてあった写真。正装のチベット女性である。ターコイズ(トルコ石)をふんだんに使った装飾品を身に着けるのはチベット文化圏全域で共通で、遠くはインド北部ラダック地方でも全く同様であった。

博物館を出て市内中心部へ戻る。博物館そばにバス停があり34番バス、もしくは中央広場(北)バス停から72番バスに乗れば行き来できることが分かった。

次に市内の北部にはずれにある北山土楼現へ向かう。こちらも宿でははっきりした行き方がわからなかったが、北山市場というところまで行ければ歩いて向かうことができることと、北山市場までは80番バスで行けることは調べられたので、あとはどこで80番バスに乗れるかがわかればよい。まずは手近な食堂で昼食。

町なかを歩いているとたまたま80番バスを見かけたので、バスが走り去った方向へ向かってみた。最初に出くわしたバス停で80番バスが停まることがわかり、次に来たかなりくたびれたミニバスに乗車した。

ほどなく終点の北山市場に到着。ここは木工品や日曜大工用品などを主に扱うかなり大きな市場だ。市場の中を通り抜けて最後に高速道路の下をくぐり抜けて15分ほどで目指す北山土楼現にたどり着いた。

ここは断崖絶壁に築かれた寺院なのか修行房なのか、クチャやトルファンで見た千仏洞のような雰囲気だ。断崖のふもとから中腹の鳥居までずっと石段が続いており、そのさらに上には社や房が穿たれている。クチャやトルファンの洞よりこちらの方が明らかに良いのに(しかも無料)、観光地として全く無名なのが納得いかなかった(のちに理由は判明する)。

通りすがりのおばあさんと向こうは中国語(チベット語かもしれない)、こちらは日本語で立ち話をする。こういうものを会話と言っていいのかどうかわからないが、ある程度の意思疎通がはかれるのが不思議だ。どこから登ればいいのか聞いてみると、ここは登攀禁止なのだと言う。後日わかったところでは以前ここで大規模な地滑りがあったため、それ以降登ることが禁止されたそうだ。もしここが上まで登れるのであれば評価は急上昇するはずだ。そうなると観光客が急増するのは確実で、そう考えると今のままでいいのかもしれないとも思う。

麓の観光客が立ち入ることができる範囲内を見て回る。いくつもの寺院があり、そこからは大都市:西寧の姿を一望することができる。

この断崖の麓にはどういうわけかやたら手相見が座っている。それ以外には物売りがいるわけでもなく、全く静かな場所である。存在自体が知られていないのか観光客もまばらである。すぐ隣にも立派な門構えの寺院がある。

11月も早や中旬、日が暮れるのも早くなってきた。

すっかり暗くなってから80番バスで市内中心部へ戻る。最終のバスは19時半発。最初に乗ったバス停まで行き、そこから先は24番バスで宿の最寄りまで戻ってきた。

夕食は回鍋肉24元に白米2元。帰り際に商店で買ったビールが5元、チョコ7元。缶ビール75円というのはありがたい。

今いる西寧を含めこれまで訪れた土地はすべて、国としては中国だが中国語以外の言語を日常的に話す人と中国語を話す人が混在する土地だった。同じコミュニティに全く違う言語を話す人が大勢いるというのは、日本で生まれ育った自分にとっては何とも奇妙な感じである。彼ら自身はどう感じているのだろうか。国の施策でどの土地にも漢族が大量に流入して、もともとそこに住んでいた民族を圧倒しつつあるが、彼ら漢族は地元住民が自分たちには全く分からない言葉でやり取りしているのをどのような気持ちで見聞きしているのだろうと思う。

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