中国西域への旅 甘粛省 嘉峪関(ジアユグアン)観光2日目
中国甘粛省:嘉峪関(ジアユグアン)での滞在2日目。昨日はここ嘉峪関のシンボルと言える城郭を見物したのだが、今日は中国東部から数千kmにわたって続く万里の長城の最終端を見に行く。長城が終わる場所、というだけで最果ての地に来た気がしてしまう。
長城までは直線距離で見て15㎞はありそうである。まずは昨日行った城郭まで同じ4番バスで向かう。そこからの交通手段はタクシーしかないのだが、今日はぶらぶら歩いてみたい気分だったこともあり徒歩で向かってみる。
予想外に長い道のりになる。こんなところを歩いている人は皆無。途中で一度だけ自転車に乗っている人を見かけ、自分も自転車を借りればよかったと少し後悔する。ひたすら荒涼とした大地を横目に見ながら歩く。それでも10㎞弱歩いて何とか到着した。近づくにつれ遠くに長城の姿が見えてきて気持ちが高まる。
この場所の名称は懸壁長城(overhanging great wall)というらしい。それだけ傾斜の急な長城だということだろう。チケット売り場で購入する段になって、昨日城郭で買った100元のチケットが2日間有効でここで使えることがわかる。使用済みチケットをたまたまポケットに入れておいて良かった。
入り口には水門があり、その前は本来は川のはずだが干上がっており、残った水もかなりの部分が凍っている。敷地内には七重塔などが見え、ちょっとした山水画のようでもある。入り口の祠のような建物の中には低く狭い通路・階段があり、物見塔に登ることができる。
長城そのものは1987年の再建されたものでオリジナルではないそうだが、おそらく元々の姿に忠実に再現されたのだろう。よくぞこれほど急峻で脆い岩山の上にこれだけ堅牢なものを築いたものだ。だだっ広い乾いた大地が広がる厳しい環境の中に忽然と建造物が現れるさまは、かつて目にしたインド北部ラダックや中央アジアの国々をどこか思い出させるものがある。
長城を登り始めると見た目通り傾斜が急で、特に女性や高齢者は苦労している。
頂上から四方を眺める。地平線まで乾いた平原が続き、強風で砂嵐のようになっている。
裏山も急峻な斜面が続いており、ここを歩くのはちょっとしたトレッキング気分でもある。
降りる際は登りとは別のルートを行く。行きとはまた違った眺望が開けてくる。
敷地内には寺院もあったが訪れる人も少なく閑散としていた。
懸壁長城を後にして次は天下第一墩と呼ばれる万里の長城の開始(終着)地点へ向かう。ここから直線距離で20㎞前後あり、足をどうしたものかと思っているとドライバーに声をかけられ50元(約750円)でどうかと言う。どう考えても高いのだが、値切りには応じてもらえず、ここは車が通りかかる場所ではなく流しの車を拾うのは難しそうでやむなく了承する。もうひとり中国人の女性観光客も同乗する。
途中、道なき道を土煙を上げて進む。ドライバーに言われて左を見ると、昨日訪れた城郭が土煙の向こうに小さく見える。なかなか絵になる光景で写真に撮りたかったのだが車の揺れでそれどころではない。車を少しだけ停めてもらおうにも前後に同じように走る車が続いており言い出しかねた。
やがて鉄道の踏切にさしかかる。列車が来ると係員が手動で遮断機を操作する。前を行く車のドライバーが係員と激しく口論している。列車が通り過ぎたらすぐに遮断機を上げろということを言っているらしい。踏切そばにも長城の痕跡らしき石の建造物が見える。
入り口から実際の長城開始地点までは距離があり、12元払ってミニバスに乗って向かう。何ヶ所かある停車場にバスが常時待機しているので、自分のタイミングで乗車して移動できる。強風がもはや暴風となり、屋外ではまっすぐ立っていられないほどになる。
天下第一墩と言ってもこのようなただの石の塊である。しかし、ここから始まり中国東部の海岸近くまで延々2000㎞以上にわたって城が続いていることを思うと、特に中国人観光客(中国東部から来た人たち)にとっては感慨深いものがあるようで写真を撮りまくっている。
周辺にも長城の痕跡らしきものがいくつも残されている。
帰りはぶらぶらと市街地まで歩いて帰ることにする。しばらく歩くとまた風が強くなってきた。通りかかった車に乗せてやると声をかけられ、交渉の結果10元で城郭まで行ってもらうことにする。そこからは市バス1元で市街地まで戻れる。城の周辺も強風で木の葉が舞い飛んでいる。
宿の近くの食堂で夕食。コメが食べたいとなると、どうしてもウイグルなどの西域料理ではなく中華料理店を選んでしまう。
帰り際、嘉峪関賓館近くでChina Mobileの大型店舗を発見。これまで何度となく失敗したSIMカード購入に性懲りもなくチャレンジ。ここでも身分証明IDカードがないと売れないと言われたが、粘った結果本部の許可が必要なので明朝来てくれということになる。今回は脈ありか。