インド:ラダック旅行 4.ヘミス、ティクセ、シェイ、スタクナ
ラダック2日目の朝。二日酔いのような軽い頭痛がする。まだ完全には高所に順応できていないようだ。今日は上ラダック地方と呼ばれる地域を車で見て回ることにする。宿にドライバーの紹介をお願いしたところ、昨日ここまで運転してきてくれたドライバーに決定。彼の名はNawangといい、英語があまり得意でないため少々苦労するところはあったが、敬虔な仏教徒で寡黙な男であった。
上ラダックの観光地というとゴンパ(寺院)を巡ることになる。
スタクナゴンパ
山に囲まれた広い谷のような大地を車でひた走る。最初に見えてきたのがスタクナゴンパ(Stakna Gompa)で、鉄橋で河をわたってすぐの丘の上に建つ寺院である。ちょうど海外のテレビ取材が入っているようで早朝にも関わらずざわついていた。
道中もそうだったのだが、ここからの眺めは実に雄大だった。山と大地、それ以外は見事に何もない。
へミスゴンパ
スタクナからかなり走り、やがて目の前に荒涼とした岩山が迫ってくる。地層がむき出しになっており大きく湾曲している。その先に、近隣で最大のへミスゴンパ(Hemis Gompa)がある。内部に展示スペースがあり、僧侶のひとりが色々説明してくれる。毎年お祭りが行われるそうで、その時は近隣住民がここに集うらしい。
寺の周囲を歩いてみると、川はまだ雪渓に覆われている。あたりは急峻な岩山であり、その中にゴンパが凛として立っている。
寺院内で生活している人たちであろう女性と子供たちがいる。大量の洗濯物を手洗いしたり干したりと忙しそうである。内室を見せてもらう際に靴を脱いでおいたら、女性たちが口々にこの靴はすばらしいと賞賛してくれる。このデザインが良いというような感覚は日本もラダックも変わらないのだなと実感する。
ティクセゴンパ
ヘミスを後にしてレー方面へ戻る。途中、ティクセゴンパ(Tikse Gompa)に立ち寄る。昨日飛行機が空港に着陸する直前、窓の外に印象的な建物が見えたのだが、それがこのゴンパだったらしい。小高い丘にへばりつくように無数の宿坊が建てられており、頂上にはゴンパがそびえている。ひと目見て写真を撮りたいと思わせる景観である。
ここからの眺望も素晴らしい。このへんでは珍しい公衆トイレが設置されているのだが、用を足しながら見える景色も絶景だった。
シェイ王宮
レーに都が移る前、ここシェイが王の都だったそうで、当時の王宮跡である。これも小高い丘の上に築かれており、要塞としての役目も果たしていたのだろう。ここはレー王宮以上に廃墟を感じさせる場所である。薄茶色の岩山に乗っかった石積みの王宮を見ると、何だかジブリの絵に出てきそうだなと思ってしまう。宮崎駿の作品にはどことなくチベットを感じさせるところがあり、この人はチベットに行ったことがあるのではないだろうかと思うことがある。
岩山を好きなように登り下り出来るようになり、身体が高地に慣れてきたことを実感する。野良犬がどこまでもついてくるのだがあいにくあげる餌がない。
ナムギャル・ツェモ
これで上ラダックで通常回るスポットはすべて訪れたそうだが、他に行きたいところはあるかと聞かれ、ナムギャル・ツェモ(Namgyal Tsemo)に行って欲しいとお願いした。昨日訪れたレー王宮の上に、もうひとつ小さい建物があったのだが、それがナムギャルツェモである。昨日は王宮まで登るだけで精一杯で、その上にはとても登ることが出来なかった。
車で直接行くことができ、そこから見ると王宮も眼下に見下ろすことになり、町と峡谷を一望できる。
宿に戻り、レー市内をぶらぶらする。The ecologicaol shop of Organic Productsという、ラダック名産のアプリコット(あんず)が原材料の製品を売る店を見つけ、おみやげを物色する。石鹸、保湿クリーム、ボディオイルなどを購入した。
チベット仏教一色だと思っていたラダックだが、町の一角にジャマーマスジッド(Jamar Masjid)というイスラム教のモスクがある。仏教とイスラムが共存しているようだが、後で聞いた話では両者がぶつかって問題が起きることがしばしばあるらしい。
隣国パキスタンはイスラム教の国であり、ここからパキスタンの方へ近づくにつれイスラム教徒の数が多くなるのかもしれない。明日はインダス川に沿って、そのパキスタンに近い方面へ向かう。今回の旅で許される一番遠い場所である。
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