フィリピンの風習・習慣について
フィリピン:ドゥマゲテでの英語留学で先生たちと日々話す中で、日本と異なる独特の風習・習慣などに話が及ぶことが多い。
独特な風習の一つに若年者から年長者へのあいさつがある。若年者が歩み寄って年長者の手を取り、手の甲を自分の額に当てるPagmamanoと呼ばれる伝統的な所作だ(manoはスペイン語で「手」)。かなりの山間部出身の先生は、自分は今では(特に身内には)照れくさくてこのやり方での挨拶はあまりしないそうだが、実家に戻るとご近所はみなこのやり方であいさつしているという。実際、レストランなどで食事していると若者が祖父母らしい人たちの手を取って自分の額に当てる動作をしているのを頻繁に目にする。
(画像はフィリピンのサイトExpatch様より許可いただき転載しました)
同性として身につまされたのが男性の割礼の話だ。フィリピン男性はみな少年期に割礼を受けていて、これは現在も脈々と受け継がれている伝統だそうだ。同じ男として想像するだけでも身が縮まる気がする話だが、これを受けていないといじめの対象になりかねないということでほぼ100%のフィリピン男性が経験済みだそうだ。感染症予防対策としてだけではなく、少年が大人の男になるための通過儀礼としての役目も果たしているようで、翻って日本にはそういう明確な通過儀礼的なものがないのだなと考えさせられる。今は医院などちゃんとした施設で処置を受けるが、かつては集落に女人禁制の一軒家があり少年はみなそこで男性器の皮の一部切除を受けていたという。
現代では麻酔をして行うが、かつてはグァバの葉を噛むことで代用していたそうで、終わってからはグァバの葉の搾り汁で感染予防処置のみ行い、数日間はスカートのようなものを穿かされてガニマタ歩きをしていたという。先生は子供時代にあの小屋で何が行われているのか興味津々だったそうだが、女の子であった自分には何も教えてもらえなかったと話してくれた。
日常的な習慣で面白いと思ったのは、女性が毎朝出勤なり登校なりする際に、髪が多少は濡れていないといけないというもの。髪が濡れていない=朝シャワーを浴びていないと思われるということで、あえて完全には乾かさず外に出かけるのが習慣になっているそうだ。
住居は当然近代的なものも多いが、下記のようなわらぶき屋根に竹で編んだ木造の家も多く残されていて、現役で活躍している。風通しが良さそうではあるものの、やはり暑いことは暑いようで夕方になると多くの人が戸外で涼んでいる姿を見かける。
現在建築中の家はさすがに1階部分にはコンクリートブロックなどを使用しているが、2階部分は伝統にのっとった形式で作られつつあるようである。
日本で言えば「家曳き」にあたる一軒家まるごとの移転作業もこの家屋なら簡単で、地方ではBayanihanという名前で10人ぐらいの男が家を担いで移転させる作業が日常的に行われているそうだ。
日常のちょっとしたことの中に潜む、その国独特の事情を聞くのは個人的な旅の楽しみの一つである。
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Image Sources:
http://www.pnoyapparel.com/blog/?p=2487
http://missosology.info/~missyorg/forum/viewtopic.php?f=15&t=192309
Reference:
http://definitelyfilipino.com/blog/2011/08/15/the-custom-of-pagmamano/
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