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エベレスト街道単独トレッキング26日目:ベンカー

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エベレスト街道トレッキング最終盤。2泊したターメ(Thami:3750m)をあとにしていよいよ帰路につく。

快晴の中、まずはナムチェバザール(Namche Bazar:3440m)へ向けて出発。宿の主人いわく自分の足なら2時間半(トレッキングに関わる仕事をしているシェルパ族ならはるかに早い)かかるとのこと。ここへ来るときに道に迷い対岸から見ていた本来のルートを歩く。巨大な岩の間を水が轟音を立てて流れ、方々の岩に宗教的な壁画が描かれている。同宿だった男性から、壁画がどれだけの大きさなのか比較できる写真を撮りたいから壁画の前を歩いてくれ、と頼まれる。

振り返ると山の斜面に見えるターメの集落が小さくなってきた。
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1時間ほどで前回立ち寄ったターモ(Thamo)に着く。この村には大きな電波塔があり、携帯電話は全く問題なくつながる。
お祭りあるいは何らかの儀式が行われているようで、人々が飲み物食べ物を持って高台のゴンパへ登っていく。太鼓とシンバルのような鐘が鳴らされ、徐々にテンポが上がっていく。
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チベット仏教ではマニ車という道具があり、これを1回まわすと経文を1回読んだのと同じ功徳が得られるという古来伝わるハイテク機器である。この村には水車と連動して水力で回るマニ車があり、ついには人が回さなくても功徳が得られるようになってしまった。

道中にはこのような岩に書かれたマニ文字をよく見かける。
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結局宿の主人が言ったとおりの時間でナムチェバザール到着。少なくともシェルパ族の山以外の仕事に関わる一般男性レベルでは歩けるぐらいに高地順応できたようだ。

ナムチェの集落はやはり規模が大きく、店も出揃っておりATMで出金もできる(ここがトレッキングエリアで出金できる最後の場所である)。他の印象的な集落に比べてそれほど気に入っていた場所ではなかったが、いざこうして戻ってくると「帰って来た」という気持ちになる。ここではATM出金とチョコと水を購入するだけで長居はしなかった。

24日前に苦労して登ってきた急坂をどんどん下る。ナムチェを過ぎるとトレッキングが終わったという気持ちがにわかにわいてくる。他に下りる人は全くいない。入れ違いに登ってくる日本人団体客多数。大半の人がナマステと声をかけてくる。説明するのが面倒なのでネパール人のふりをする。このトレッキングでは日本人には数えるほどしか会わなかった。毎年12月になると日本人が激増するらしい。

川は相変わらず激流。数日前までいたあの高地からここまでこの勢いのまま流れて来たのかと思う。川合の岩の上でチョコを食べつつ休憩していて、ふと振り返るとナムチェの丘が見え名残惜しい気持ちになる。ジョサレ(Jorsale)のチェックポストで軍のチェックを受けサガルマータ国立公園から出る。クーンブ(Khumb)地方のシンボル的存在のクンビラ(Khumbi La:5673m)とナムチェの丘がそろそろ見えなくなる。ナムチェの丘の頂上に小さくロッジが見え、あそこまで歩いて行ったことを(ついこの間のことなのに)懐かしく思い出す。これでヒマラヤとお別れかと思うと何度も振り返ってしまう。
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モンジョ(Monjo)、チュモア(Chumoa)と宿場町(町という規模ではないが)を通過し、ついにクンビラとナムチェの丘が見えなくなった。やがてベンカー(Benkar:2630m)というロッジ・茶店などあわせて5軒程度の集落に着く。今回のヒマラヤで一番印象に残り、最も目にすることの多かったタムセルク(Thamserku:6608m)はまだ頂上付近が見えている。本当に美しい山である。まだ時間も早いし先まで進めるが、山が見えなくなる所まで行ってしまうのが何となく寂しく今日はここで泊まることにする。
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本日の宿 ベンカーゲストハウス:Benkar Guest House(1泊200ルピー)
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ほとんどのトレッカーはこの先のパクディン(Phakding:2652m)に泊まることが多く、ここベンカーに立ち寄る人はほとんどいない。川のすぐそばであり激しい流れが轟々と響く。宿の女の子は不機嫌そうで見事なほど愛想がない。

夕方になるとトレッカーの姿はほとんどなくなり、かわりにリスが駆け回る。聞こえるのは鳥のさえずりと川の轟音のみ。時折荷物を背負った地元の人が山を下りていくのが見られる。サンダル履きの人も多い。宿の周囲は中国:桂林や山梨:昇仙峡を思わせるような山と岩に囲まれている。

夕方になって登り途中のフランス人男女4人が投宿。宿の女の子は徐々に打ち解けて笑顔を見せてくれるようになった。単にシャイだったのか、警戒していたのか。女性3世代で切り盛りしており、室内もきれいにされていて良い宿であった。

山あいの谷間で曇りがちだが夜空には星が綺麗に見える。昨日までと比べ寒さがなく、何より呼吸が楽である。人の住む場所に帰って来たと実感する。

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