中国ベトナム国境越え 陸路で河口からラオカイへ
1月1日(日)
雲南省:大理(ダーリ)で2017年の始まりを迎える。昨夜は爆竹がそこら中で鳴らされ続けるような大騒ぎを覚悟していたのだが、意外に穏やかな年越しだった。新年早々熱っぽく、昨日よりさらに体調が悪化している。寝ている間に大汗をかければいいのだがいくら着込んでも汗が出ず熱が体内にこもるばかり。今日明日は1日7時間前後の移動を予定しており何とかしなければならない。
11時半発129元(約1940円)のバスで昆明(クンミン)へ向かう。バス乗り場がなかなかわからず、色々な人に聞きまくってようやくたどり着く。乗客わずか10人ほどで出発するが、古城内で次々に客をピックアップしていく。予想より早く5時間半ほどで昆明に着いたが、体調の悪さもあってボロボロの状態。降車時にドライバーが外国人の自分にサムズアップしてくれるが満足に返す余裕がない。
前回と同じ阳光賓館、1泊80元(約1200円)に宿泊。
明日は鉄道でベトナムとの国境の町:河口へ行く予定で、昆明火車站(駅)へチケットを買いに行く。駅窓口自体は4:30から24:00まで営業(途中2時間程度の休み時間あり)しているが、いつ行っても乗客が殺到している。行列はあっても割り込み客が後を絶たない。列車に乗ることに不慣れな人も多く、駅の電光掲示板で確認すればわかることを延々と窓口で聞いていたりして、待っているこちらもいらいらしてくる。へとへとになりながらも何とか10:45発16:20着、105.5元(約1600円)のチケットを購入する。座席に座って行くのは無理と判断して、寝台ベッド車両の硬臥中段(2等寝台、3段ベッドの中段)を予約した。
1月2日(月)
今日も割れるように頭が痛い。宿から駅までの道のりが苦行に思える。乗車してすぐ寝台に横になる。車窓からは大きなモスクや大森林、熱帯性の植物など興味深いものが次々に目に入ってくるのだが、それを眺める余裕もない。
ほぼ定刻に河口駅に着く。国境の駅だからさぞかし寂れた駅かと思いきや、意外に大きな駅で待合室でも大勢の乗客が列車を待っている。駅を出ると七天というホテルチェーンの客引きに声をかけられ、とても宿を探す気力はないので七天連鎖酒店、1泊100元(約1500円)でOKする。宿までは少し遠いので無料送迎してもらう。仕事で来たという中国人男性と送迎車に乗り合わせたが、彼は客引き同様に英語が話せて、「日本人がなぜこんなところに?ベトナムなんて飛行機で行けるだろう」と不思議そうだった。陸路で国境を越えたいからだと答えたが、よほどの物好きと思われただろう。これまでの中国各地では英語が話せる人は稀だったが、さすがに国境の街だけあって英語の必要性が高いようだ。
目の前の川を渡った向こうはもうベトナム:ラオカイの町だ。せっかく国境地帯に来たというのにそれを味わう元気も余裕もない。
1月3日(火)
相変わらず体調が悪く、昨日から全く何も食べていない。できれば静養したいところだが中国の滞在期限が迫っており、どうしても今日国境を越えなければならない。河口の町を歩いているとここに長期滞在しているという日本人男性に声をかけられる。このあたりの人ともすっかり顔見知りになっているようで、茶屋でお茶をごちそうになる。昆明でおなじみの巨大なパイプで一服する人がたむろしている。一服するたびにうつろな目になる。親指の爪を異常に長く伸ばした男がおり何だろうと思っていると、これは古来中国では特権階級の証しなのだそうだ。
長期滞在しているという部屋にお邪魔して日本の餅をご馳走になる。ほぼ2日ぶりの食事でありがたかった。旅人同士、また久々の日本人ということもあって5時間近く話し込んでしまった。日本で働きながら、もう40年以上もあちこち旅しているというベテランで、アフガニスタンとフィンランドが特に良かったそう。
餅である程度体力が回復したと思ったのだが、少し外を歩くだけでまたグロッキー状態になってしまう。必死の思いで荷物を担いで国境へ向かう。ここ河口の町からの密入国が多いそうで、ベトナム人に対する中国の出国審査はとりわけ厳しい。中国人もベトナムへ行く場合は正規のビザ300元(約4500円)が必要で、それが密航用の渡し舟で行くとわずか20元(約300円)で済むのだそうだ。
中国を出国する手続きを終えて、中国とベトナムの国境を結ぶ橋を渡る。ベトナム側から中国側を振り返ってみる。川向こうのベトナムの建物を見ると、中国のものとはどことなく趣きが違っているように思えてしまう。
この門をくぐるとベトナムだ。中華風の雰囲気が全く見られず、これから違う国へ入るのだと実感できる。
中国側の出国審査に続いてベトナムの入国審査を受ける。ようやくベトナムに入国できたときには体力の限界でその場にしばらくしゃがみこんでしまった。国境管理の建物から出るとラオカイの町だ。早速両替屋が群がってくる。1元3000ベトナムドン(1円200ドン)で手持ちの中国元をすべてベトナム紙幣に替える。
ここからベトナム北部高原の町サパへ向かう。タクシーで行かないかと執拗に声をかけられるが断る。バス乗り場がわからずまごついていると、走行中のバスの車掌が Ben Xe Buyt というバス乗り場を教えてくれる。
朦朧としたままバスに揺られ気付くとサパだから降りろと言われる。雨の中、宿を探しようやくSapa Rose Hotelを宿に決める。1泊8米ドル(約880円)。
何か腹に入れなければと目の前の食堂に入り、チキンヌードルスープを注文する。それほど大きい器でもないのに、吐き気がして持て余す。野菜豊富なのはありがたい。ウイグル→中華→ベトナムとだんだん日本人向きの料理になっているようには感じる。
霧雨で町全体にもやがかかったような天気で寒い。ここでも昆明や河口のような巨大なパイプで煙を吸い込む男の姿が見られる。部屋に戻ると、チェックイン時に渡された鍵が違っていて部屋に入れない。玄関で番をしている12歳ぐらいの女の子が奔走してくれるが鍵は見つからない。最後に若い男性が出てきて鍵を交換してくれる。こんな小さな子が仕事しなくてもいいのにとひとり勝手に思ってしまう。この子も、8歳ぐらいの妹もみな英語が達者で驚く。ここは中国から20km程度しか離れていないのに違っている点もずいぶん多い。
1月4日(水)5日(木)
ようやく移動せずに身体を休めることが出来るのがありがたく、ひたすら寝る。せっかくサパに来ているのにもったいないと思うが仕方ない。可能な範囲で出来るだけ食事を摂ってとにかく体力の回復に努める。
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