中国西域への旅 四川省:理塘(リタン)から郷城へ
四川省理塘(リタン)で2日目を迎える。ここ理塘は朗木寺(ランムス)などと並んで今でも鳥葬が行われている数少ない場所だ。朝、鳥葬台へ出かけてみる。4000mの標高にいまだ高度順応できておらず、少しの上り坂で息切れがする。
なかなか場所がわからず時間がかかったがようやくそれらしい場所にたどり着いた。タルチョ(祈祷旗)と敬香台(香を供える台)があり、近くには椅子が置いてある。おそらく実際の鳥葬の際には親族は近くまでは行かずここで待つのだろう。
西に広がるなだらかな斜面が鳥葬の丘。2人の僧侶と2人のチベット人男性がいて、ひとりの男性が地面に額をつけて礼拝した上で、ハンマーで木の杭を地面に打ち込んでいる。そのあとバター灯明を供えていた。おそらく既に鳥葬は行われており、葬式後の供養の儀式なのだろう。儀式が終わると彼らは車で去って行った。
鳥葬台となる斜面には作業台と思われる平らな石と刃物が無造作に置かれている。ハゲタカが何羽かおり、カラスと比べてそのあまりの大きさに驚く。
しばらくその場にいたところ、いかにもチベットのカムパ(チベット東部カム地方の人という意味)らしい男性がやってきて、外国人とわかる自分がここにいるのを見て殴りかかろうとする。カムパの気性の荒さは聞いていたので殴られる前に退散する。
宿への帰路、7世ダライラマの生家を訪ねる。非常に立派な家で裕福な家庭の出だったのだろう。あたりには人懐っこい猫が多く、遊んでいると「あんたの猫にしたら?」と言われる。
金色の巨大なマニ車が回る堂があり、そこへ参る人たちを動画撮影していると地元のおじいさんが興味津々で覗き込んでくる。
次の目的地:香格里拉(シャングリラ)へ行くバスの時刻を確認しようとバスターミナルへ行く。明日正午発79元(約1200円)のバスがあるという。今日のバスは無いのかと聞くと「明日にしたら?」。結局粘って今日のチケットを発券してもらう。大急ぎで宿に戻って荷物をまとめ、ターミナルへ戻る。バスはちょうど発車しようとしているところでギリギリ間に合った。バスはこれまで中国で乗った中で一番立派な車両でトイレもついている。
巨石がゴロゴロ転がるゴツゴツした山道を走る。道路はつい最近完成したばかりのようで真新しい。道の脇を見ると大破した車が転がっている。山道をぐんぐん登り、標高4700mあたりで海子山という場所に出る。無数の池がありすべてが凍りついている。途中、断崖絶壁に築かれた郭坡寺を通過する。2時間ほど走って小休止のあとは一転して未舗装の悪路を砂煙をもうもうとあげて走る。無人の達磨村を経て、正真正銘の断崖絶壁にさしかかる。ここでハンドル操作を誤ると数百m落下することになるだろう。山の斜面に「感党恩 愛祖国 奔小康」との中国共産党スローガンが大書されている。
17時頃、郷城汽車站に到着。この先のバスはなく香格里拉へは明日のバスで行くことになるのだそうで、理塘で支払った79元はここまでの料金だったようだ。明日6時10分発の香格里拉行き88元(約1320円)のチケットを購入し、今日の宿を探すことにする。客引きに紹介された宿に泊まることにしたが、ここは窓ガラスが破れていたり(後で気付いた)と寒い時期にはなかなか厳しい宿だった。
本日の宿: 領恩旅社、1泊50元(約750円)。
町に出て夕食。
ここ郷城は山に囲まれた傾斜地に無理やり作られたような町で、平坦な場所が少なく坂だらけである。理塘と比べるとずっと規模が大きく近代的で、これまでの町とは違って漢民族の割合が非常に高い。時折ムスリム住民の姿を見かける。ここまでの町では看板に「成都●●」と書かれていることが多かったが、ここへ来て初めて「大理●●」という表記を目にするようになった。大理は雲南省の有名観光地である。ここ郷城はまだ四川省香巴拉(シャンバラ)県だが、雲南省エリアが近付いていることをこんなところで実感する。
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