エベレスト街道単独トレッキング13日目:パンボチェ
朝起きたときには既に宿の主人は昨日話していたとおりゴラクシェプ(Gorakshep:5160m)へ出発済み。
自分の脚だと3日かかるところを彼は6時間で行くという。
今日はまずパンボチェ(3958m)まで行く予定。3時間ほどかかるとの事。
まず集落の背後の丘を登る。今朝も氷点下だったようで様々な造型の霜柱が見られる。
朝一番からしんどい想いをしてやっと丘を登り切ると、ポルツェの集落がはるか眼下に。
深い谷をはさんで向かい、巨大なタムセルクの麓に小さくタンボチェ寺院が見える。
そこからは山腹の細い道を激しくアップダウンする。
急峻な斜面に作られた道で、悪天候時にはあまり通りたくない。
しばらく見えていなかったアマダブラム(Ama Dablam:6856m)が見えるようになり、
なおも進むとエベレストとローツェ(8516m)が視界に入ってくる。
以前NHKで観て非常に感銘を受けた「エベレスト 世界最高峰を撮る」という番組で観たのと同じ姿の山を目にして感激する。
ここまでアップダウンが激しくて少々参っていたが、これで少し元気が出る。
やがてパンボチェの集落が見えてきたがここからが長く、結局出発から3時間半かかってしまった。
上タンボチェ、下タンボチェの2つがあるという事だが、ロッジなどがあるエリアが分からず自分を含めたトレッカー達はみな迷ってしまった。
ようやくゴンパ(寺院)隣の食堂を見付け昼食。
ここから次のロブチェまではさらに3時間とのことで行く気にならず、今日はここ、トレッカーズホリデーイン:Trekker’s Holiday Inn(1泊200ルピー)に投宿決定。
やはりまだ体調が完全には戻っておらずすぐ疲れてしまい、部屋で1時間ほど寝てしまう。
ロブチェ方面へ向かう丘を登るとローツェがさらにはっきり見えて美しい。
明日以降この圧倒的な景色の中、もうひとつすぐれない体調で行くのが少々不安である。
足元にはおそらく下パンボチェと思われる小さな集落、その遥か下には相変わらず轟々たる流れがある。
16:30頃になり日が暮れると急速に寒くなる。
まわりの6000m峰がすべて陰ったあと、エベレストとローツェの2つの8000m峰のみもの凄い色に染まる。
デジカメで自分が見たとおりの色が撮れないのがもどかしい。
やがて日が完全に落ち、空が薄紫色に変わる。
宿泊客はフランス人が多く、エクアドル人もひとり。
今年の春に日本に3週間滞在したそうで、東京・広島・大阪・京都・奈良とまわったとのこと。
日本の礼節やすべてがきちんとしているところが印象深かったそう。
彼は今日ナムチェバザールからここまで来ており、自分よりよほど健脚である。
元気を注入しようと夕食に久しぶりに肉を注文する。
おそらくヤクの肉だと思われ、非常に噛みごたえがあるが美味い。
昨日より標高が上がっているが明らかに暖かい。
やはり峠などの切り立った場所は寒さも厳しいのかもしれない。
谷を朗々と流れる川はイムジャ・コーラというそうで、ここパンボチェがこの川沿いでは最後の常住村だそうだ。
明日以降は本来人間が住むところではない土地へ向かっていくことになる。
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