2014チベットへの旅:6日目 ナムツォ
朝、目覚めるとかなり体調が戻っている。これなら行けそうだ。本日の行き先はナムツォ(チベットの言葉でナムは天、ツォは湖)。ラサ北部、海抜4718mにある湖である。ホテルでしっかり朝食をとる。果物が豊富なのがうれしい。
ワゴンで一路北へ向かう。市街地を抜けるとあっという間にだだっ広い草原に出る。チベットというと茶色く乾いた荒涼とした高原というイメージだったのだが、意外に水と緑が豊かな土地である。
やがて白く雪をかぶった山が見えるようになり、草原の中を青蔵鉄道が走るのを目にする。5000m超の峠を越えてはるばるここまで来た列車である。こういうのは鉄道ファンにはたまらないのだろうなと考える。
行けども行けども広大な草原がどこまでも続く。ところどころにタルチョ(経文)が円錐状に形作られて置かれている。目に映るのは空の色、大地の色、色とりどりのタルチョの色だけである。
やがてナムツォが遠くに見えてきた。みんな車内に幽閉されてきたので、決められた時刻までしばし思い思いに湖畔での時間を過ごす。
ナムツォとはチベットの言葉で天の湖という意味らしい。この高所にあることも名の由来の一つではあるだろう。日本のお経の「南無阿弥陀仏」「南無妙法蓮華経」にも、インドやネパールのあいさつ「ナマステ」「ナマスカール」にもすべて冒頭に「ナム」がつくが、これが天を意味すると言われると非常にしっくりくる感覚がある。お経や宗教用語はすべて古代サンスクリット語にルーツを持つと聞く。もとはひとつの根から生まれたアジア全体の言葉や文化は今でも深いところでつながっていると感じさせられる。
明日はラサを離れ、ギャンツェ、シガツェという町へ向かう。
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