アンコールワットからアユタヤへの旅行記 3. タプローム寺院
人工物が樹木に飲み込まれつつある姿が印象的なタ・プローム遺跡(Ta Prohm)を始めとするアンコールトム遺跡群を訪れる。
昨日と同じガイドのHanaがホテルに迎えに来る。昨日訪れたアンコールワットとバイヨンにもう一度寄ってくれとお願いする。
アンコールワット
日を改めて見てもやはり素晴らしい。800年以上前にどうしてこのような精緻な建物が造れたのかと思わずにはいられない。
離れて塔を見ると見る位置によって見える塔の数が3〜5本に変わるよう計算されているそうで、エジプトのピラミッドなどと同じく当時の設計技術の高さを思い知らされる。
彫刻もきわめて精巧かつ独特で、奇怪なレリーフが組み合わさって建物全体を形づくっていることがわかる。あるところは那覇の玉陵(たまうどぅん)のようであったり、別のところはローマ建築のようであったり、と様々な様式がミックスされているように感じられる。
宗教的にもこれははたして仏教遺跡なのだろうか。ヒンズー教の影響も随所に感じられ、当時ここが世界中からあらゆるものが集まり影響を与え合う場所だったのだろうかと思わされる。
バイヨン
続いてバイヨン(Bayon)寺院。ここは岩に無数に彫られた仏の顔が印象的である。様々な表情の石仏の下にある入り口から入っていくと、仏の胎内に入っていくような気になる。
ピアミナカス
同じくアンコールトム内にあるピミアナカス寺院(Phimeanakas)。珍しくピラミッド状の建築物である。
遺跡の間を歩いていると、そこらへんに転がっている石にも彫刻が刻まれている。当時は建物だったものが崩壊・風化した跡だろうか。
昼食は本物のカンボジア料理を食べさせてやるとのことで、アモックというココナッツカレーのようなものがココナッツの実を器にして出てきた。優しい味で日本人なら気に入るはずである。カンボジア人の穏やかな気質を考えると、やはり食べ物と国民性には関連性があるように思える。
昨日も今日も、昼食を食べると決まって土砂降りに見舞われる。そうなるとひたすら雨宿りである。
バンテアイ・クデイ
スラ・スラン(Sras Srang)という人造池に隣接するバンテアイ・クデイ(Banteay Kdei)。石と彫刻のるつぼといった感じで、いくつもの門を一直線上に配置して遠くから見渡せる、意図的な造形が見られる。そこへ向こうから人が歩いてくるのを見ると、絵画の中での出来事のような錯覚に陥る。ストーンヘンジの柱の林立とパルテノン神殿の構築美を連想させられた。
タ・プローム
最後にタ・プローム。おそらく忘れ去られ打ち捨てられていた数百年の間に巨木がこの建物を飲み込もうとしていたのだろう。自然の力、森の力をまざまざと感じ、同時に人間の文明のはかなさを思う。
タ・プロームホテルの目の前のオールドマーケットをぶらぶら見て回る。ヘビの燻製が売られており、嗅いだことのないすごい臭いがする。遺跡の彫刻にもヘビが頻繁に登場し、この地方では重要な生き物なのだろうがこの臭いのものを食べる勇気は出ない。
ドリアンも強烈な臭いで腐肉そのもの。東南アジアでは電車などドリアン持ち込み禁止のところが多いがこれでは無理もない。おみやげにドリアンキャンディーを日本へ買って帰ったが、それですら袋を開けた瞬間に居合わせた人間が悶絶するほどだった。
アプサラ・ダンス
夜はガイドのHanaがアンコール・モンディアル(Anchor Mondial)という大型レストランへ連れて行ってくれる。レストランと言うよりパーティー会場というような規模でバイキング形式で食事ができる。カンボジア伝統のアプサラ(Apsara)ダンスのショーも行われている。好きなだけ食べてビールも飲んで12ドルほどだった。
写真はプロの踊り手の本物のダンスだが、その合間に明らかに素人の若い男女グループによる踊りが挟まれてその落差がすごい。東南アジア独特の手の動きが独特な踊りで、遺跡に刻まれている彫刻と同じポーズが出てくる。遺跡のことは長い間忘れ去られたが、その間もこの踊りだけは引き継がれ続けてきたらしい。
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